大鹿村に到着したものの、アテもなく来たので何もすることはありません。
ま、自分はこんなツーリングが好きなので別にいいのですが、覗くお店では軒並み売り切れor営業時間外で断られてしまいました。
時間がわるいのか、ハーレーがうるさいのがわるいのか、理由は様々でしょうが歓迎されていないような気さえします。
考えてみれば、ここは人口1000人の村です。滅多に来ない客人をいつまでも迎えている方が疲れてしまいます。
村人みんながみんなヒッピーとは言いませんが、みなさんマイペースに過ごしているのでしょう。
仕方がないので道の駅内にある観光案内所で、観光場所を尋ねるついでにこんな話をきいてみました。
『このあたりって、昔ヒッピーとかって話ありました?』
『そういう自然派の人は今でもいます。こちらの方面に住んでいる場合が多いですね。』
ほう!興味深い!しかし、案内所の職員はこう続けました。
『彼らは自給自足というか、基本的に自己完結しているので、その文化を体験できるような観光的な施設はありません。お店もなければ、知り合いがいない限り、人にもあえないでしょう』
それはそうだ。
でもね、なんとなく教えてもらったヒントを頼りに彼らが住んでいるのではないかと思う集落を横切ってみました。
ここから見下ろす一帯がそうです。
小さい静かな農村集落です。
細い山道の先にあり、ひっそりと暮らしているようです。
点滅する信号機もうるさい看板もありません。
私のイメージするヒッピーとは、サイケデリックで奇抜なアートであり、それを期待していました。
しかしここは変哲もない、むしろ普通よりも地味な田舎集落です。
ここでふと、昔聞いたシクラソマの話を思い出しました。
外来種として煙たがれる獰猛な魚・ティラピアも、長らくそこで暮らしていれば静かで綺麗なシクラソマの輝きを身体に帯びるという話です。
ここに移住して来た人たちは、ここの地をただ気に入って生活を営んでいるだけなのかもしれません。